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HP PavilionからOmniBookへのリブランドを徹底解説!製品対応から進化のポイントまで

OmniBook Re-brand-アイキャッチ画像 考察・分析
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2024年5月、HPのPCブランド再編が発表され、長年親しまれてきたPavilionシリーズは新たなOmniBookシリーズへと生まれ変わりました。
このリブランドは単なる名称変更ではなく、AI時代を見据えたHPのPC製品戦略の大きな転換点と言えそうです。

しかしながら、このHPのブランド再編は「どのPavilionモデルが、どのOmniBookモデルになったのか」が判り辛いという混乱を消費者にもたらしました。
実は、かく言う筆者も混乱してしまった一人でした。

当初はこのリブランドによる新旧製品の対応関係を筆者自身が理解するために情報を収集/整理していました。
今回、記事としてまとめることで、新たな製品階層の詳細から具体的なPavilionとOmniBookの製品対応、そしてPavilionからの進化ポイントまで、網羅的に解説いたします。

◆ 記事のポイント
  • HPのブランド再編の全体像がわかる
  • 旧Pavilionと新OmniBookの対応関係がわかる
  • 新シリーズの技術的な進化点がわかる
  • 自分に最適なモデルを選ぶ基準がわかる

HP PavilionからOmniBookへのリブランドとは

OmniBook Re-brand-HP PavilionからOmniBookへのリブランドとは
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HP PCのブランド再編が行われた背景

2024年5月、HPは大規模なPCブランドの再編を発表しました。
この動きの中心にあるのが、AI PC時代の到来です。これまで複雑化していた製品ポートフォリオを簡素化し、消費者がより直感的に製品を選べるようにすることが主な目的とされています。

これまでの「Pavilion」「Envy」「Spectre」といった複数のブランド名は、それぞれの特徴がありましたが、一方で消費者にとっては違いが分かりにくい側面もありました。

そこでHPは、「Omni」というラテン語で「全て」を意味する言葉を冠した新ブランドにラインアップを統合することで、AI機能を核とした統一された製品体験を提供しようとしています。

ブランド再編のポイント

この再編は、単なるマーケティング戦略ではないようです。
全てのコンシューマー向けノートPCにAI処理を専門に行うNPU(Neural Processing Unit)を標準搭載し、PCの役割そのものを再定義しようという、HPの強い意志の表れが見てとれます。

このように、ブランド再編の背景には、技術革新と市場の変化に対応し、消費者への価値提案をより明確にするという戦略的な狙いが見えてきます。

OmniBookの新たな製品階層

OmniBook Re-brand-OmniBookの新たな製品階層
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今回のブランド再編により、HPのコンシューマー向けノートPCは、性能と価格帯に応じて非常に分かりやすい階層構造に整理されました。
これにより、ユーザーは自分の使い方や予算に合ったモデルを簡単に見つけられるようになります。

新たな製品階層は、主に以下の4つのシリーズで構成されています。

HP OmniBook 5:新しいスタンダード

従来のHP Pavilionシリーズの直接的な後継にあたるメインストリームモデルです。
家庭での利用や学生、日常的な作業をこなす一般ユーザーに最適化されており、優れたコストパフォーマンスを特徴としています。
参照:日本HP公式サイト

HP OmniBook 7:高性能メインストリーム

超軽量モデルの「Pavilion Aero」と、より高性能な「Pavilion Plus」を統合した後継ラインです。
パフォーマンスを重視するユーザーに向けたモデルで、携帯性と処理性能を高いレベルで両立させています。
参照:日本HP公式サイト

HP OmniBook X:プレミアムデザイン&クリエイティブ

デザイン性とクリエイター向けの性能を兼ね備えたシリーズで、従来は「HP Envy」が担っていた役割を引き継ぎます。
Qualcomm社のSnapdragon X Eliteプロセッサーを搭載したモデルなどがラインアップされています。

HP OmniBook Ultra:フラッグシップ

最高の性能を求めるプロフェッショナルや、最先端の技術を求めるユーザー向けの最上位モデルです。
これは、従来のフラッグシップモデル「HP Spectre」の後継と位置づけられています。

この階層構造の最も重要な点は、エントリーモデルであるOmniBook 5でさえ、AI処理を担うNPUを標準で搭載していることです。
これにより、HPのノートPCは全ラインアップが次世代のAI体験が可能となりました。

旧製品Pavilionシリーズのコンセプト

OmniBookシリーズを理解するためには、その前身であるPavilionシリーズがどのようなコンセプトを持っていたかを知ることが重要です。Pavilionは、HPのコンシューマー向けPCラインアップの中で、数十年にわたり「スタンダード」や「正統派」としての役割を担ってきました。

主なコンセプトは、幅広いユーザー層に向けた、信頼性とコストパフォーマンスのバランスにありました。主なターゲット層は以下の通りです。

  • 家庭でPCを利用するファミリー層
  • レポート作成やオンライン授業でPCを使う学生
  • インターネットやメール、動画視聴などを楽しむ一般ユーザー

また、Pavilionシリーズは単一のモデルではなく、ユーザーの多様なニーズに応えるために、いくつかの派生シリーズを展開していました。

Pavilionの主要な派生シリーズ

  • Pavilion Aero: 1kgを切る軽さを実現した超軽量モバイルノートPC。
  • Pavilion Plus: より高い処理性能や高解像度ディスプレイを搭載したプレミアムモデル。
  • Pavilion x360: 画面が360度回転し、タブレットのようにも使える2-in-1コンバーチブルPC。

このように、Pavilionは「多くの人にとっての最初の選択肢」となることを目指し、手頃な価格帯でありながら、時代のニーズに合わせて性能や機能を柔軟に進化させてきたブランドだったと言えます。

OmniBookシリーズのコンセプト

OmniBook Re-brand-OmniBookシリーズのコンセプト
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新しく登場したOmniBookシリーズは、Pavilionが築いてきた「スタンダード」の概念を、AI時代に合わせて再定義するものです。
その中心的なコンセプトは、「AI体験の民主化」と言えるでしょう。

OmniBookが目指すのは、一部の高性能なモデルだけでなく、全てのユーザーが標準で高度なAI機能の恩恵を受けられる世界です。
これを実現するため、OmniBookシリーズは全モデルにAI処理専用のプロセッサーコアであるNPUを搭載しています。

「Omni」に込められた意味

ラテン語で「全て」を意味する「Omni」という名称は、この包括的なアプローチを象徴しています。
HPは、個別の製品を売るのではなく、NPUによるAI機能を基盤とした統一されたエコシステムへの入り口としてPCを位置づけているようです。

そのため、OmniBook 5のユーザーも、最上位のOmniBook Ultraのユーザーも、性能レベルこそ違えど、同じ先進的なAI技術の基盤を共有することになります。
これにより、消費者は「OmniBookが提供するAI体験」という共通の価値基準で製品を選ぶことができ、ブランド全体としての一貫性が保たれます。

Pavilionが「多くの人にとってのスタンダードPC」であったのに対し、OmniBookは「AI時代の全ての人のためのスタンダードPC」という、より先進的で明確なコンセプトを掲げているのです。

PavilionとOmniBookの製品対応

ブランドが再編される際に最も気になるのが、「これまで使っていた、あるいは検討していたPavilionモデルは、新しいOmniBookのどのモデルに相当するのか」という点です。
ここでは、その対応関係を分かりやすく表にまとめました。

この対応表を見れば、HPが各製品ラインのコンセプトをどのように継承し、進化させたかが一目でわかります。

旧Pavilionシリーズ後継OmniBookシリーズ主な位置づけ・コンセプト
HP Pavilion (15/16インチ)HP OmniBook 5AI PC時代の新しいスタンダード。コストパフォーマンス重視。
HP Pavilion Aero (13インチ)HP OmniBook 7 Aero1kg未満の超軽量設計を継承したプレミアムモバイルPC。
HP Pavilion Plus (14/16インチ)HP OmniBook 7高性能CPUと高解像度ディスプレイを持つ薄型プレミアムPC。
HP Pavilion x360 (2-in-1)HP OmniBook 5 Flip:エントリー・ミドルクラス
HP OmniBook X Flip:プレミアムクラス、旧Envy x360 14後継
360度回転ヒンジを持つ汎用性の高い2-in-1デザインを継承。

!注意点!

これはあくまで基本的な対応関係です。OmniBookシリーズは、単なる後継機ではなく、基本性能や機能が大幅に向上しています。
例えば、最もベーシックなOmniBook 5でさえ、従来のPavilionの中上位モデルに匹敵するスペックを持つ場合があります。

この対応関係を基本として、次の章では具体的にどのような進化を遂げたのかを詳しく見ていきます。

HP PavilionからOmniBookへのリブランドによる進化

OmniBook Re-brand-HP PavilionからOmniBookへのリブランドによる進化
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Pavilionからの進化ポイントを徹底比較

OmniBookへの移行は、単なる名前の変更ではなく、性能や機能における明確な「世代交代」を意味します。ここでは、主要なモデルが具体的にどのように進化したのかを比較していきます。

Pavilion AeroからOmniBook 7 Aeroへ

この移行は、最も劇的な進化を遂げた例です。Pavilion Aeroの強みであった1kg未満の軽さはそのままに、中身は全く新しいAIモバイルPCへと生まれ変わりました。
参照:日本HP公式サイト

項目HP Pavilion Aero 13 (最終モデル)HP OmniBook 7 Aero 13
NPU性能16 TOPS50 TOPS
Webカメラ720p(約92万画素) 5MP:約500万画素、1440p対応
顔認証対応
USB-Cポート1基2基

NPU性能が3倍以上に向上し、Microsoftが提唱する「Copilot+ PC」の基準をクリア。これにより、デバイス上で高度なAI処理が可能になりました。
また、Webカメラの画質向上やポートの増設など、使い勝手も着実に改善されています。

スタンダードPavilionからOmniBook 5へ

この移行は、HPが考える「日常で使うPCの新しい基準」を示すものです。OmniBook 5は、エントリーモデルでありながら、一世代前のミドルクラスに匹敵する性能を標準で備えています。

  • AIプロセッサー: 全モデルでNPU内蔵プロセッサーが標準搭載。
  • ディスプレイ品質: アスペクト比16:10のディスプレイやタッチ対応がより標準的に。
  • Webカメラ: HD画質(720p)から5MP IR対応へ大幅に高画質化。
  • 接続性: Wi-Fi 6Eが標準となり、より高速で安定した通信が可能に。

OmniBook 5を新たなベースラインとすることで、HPはPCの基本性能を底上げしました。
消費者にとっては、最低購入価格は少し上がることになりますが、それ以上に性能や将来性という価値が大きく向上したと言えます。

OmniBookのNPU性能がもたらす変化

OmniBook Re-brand-OmniBookのNPU性能がもたらす変化

OmniBookシリーズを語る上で欠かせないのが、NPU (Neural Processing Unit) です。
これはAIの計算に特化した専用のプロセッサーで、その性能がPCの体験を大きく変えようとしています。

NPUとは何か?

CPUが様々な指示を出す司令塔、GPUが映像処理の専門家だとすれば、NPUはAIの思考プロセス(機械学習モデル)で使われる特殊な計算だけを、驚くほど効率的に実行します。

この性能はTOPS (Trillions of Operations Per Second) という単位で表され、1秒間に1兆回の計算ができることを意味します。
この数値が高ければ高いほど、より複雑なAIタスクを高速に処理できます。

「Copilot+ PC」という新たな基準

Microsoftは、このNPU性能が40 TOPS以上のPCを「Copilot+ PC」と名付け、次世代AI PCの標準と位置付けました。OmniBookシリーズの多くはこの基準をクリアしており、従来のPCでは不可能だった新しい機能が利用可能になります。

NPUが高性能化するメリット

  • パフォーマンス向上: AI処理をNPUに任せることでCPUの負荷が減り、PC全体の動作が軽快になります。
  • バッテリー持続時間向上: 電力効率に優れたNPUが働くため、消費電力が抑えられます。
  • プライバシー保護: データをクラウドに送らずPC内部でAI処理が完結するため、個人情報が外部に漏れる心配がありません。
  • 新機能の実現: PC上の過去の操作を検索できる「リコール」や、リアルタイム翻訳字幕「ライブキャプション」といった革新的な機能が使えるようになります。

このように、NPUは単なるスペックの一部ではなく、PCの利便性や安全性を根本から向上させる重要な要素なのです。

用途別おすすめモデル購入ガイダンス

OmniBook Re-brand-用途別おすすめモデル購入ガイダンス
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HPの新しいOmniBookシリーズの中から、どのモデルを選べば良いか迷う方もいるでしょう。ここでは、利用シーンや目的に合わせたおすすめのモデルをご紹介します。

日常的な用途が中心のユーザー(学生・家庭向け)

おすすめモデル: HP OmniBook 5

ウェブブラウジングや動画視聴、Officeソフトの利用といった一般的なタスクには、新しいスタンダードであるOmniBook 5が最適です。AI機能の基盤をしっかり備えつつ、コストパフォーマンスに優れているため、「迷ったらコレ」と言えるバランスの取れた一台です。将来的なソフトウェアの進化にも対応できる安心感があります。

場所を問わず活動するユーザー(頻繁に外出するビジネスパーソン)

おすすめモデル: HP OmniBook 7 Aero

1kgを切る圧倒的な軽さと、Copilot+ PCとしての強力なAI性能を両立したこのモデルは、モバイルユーザーにとって議論の余地なく最良の選択肢です。外出先でも生産性を一切妥協したくない、軽さと性能の両方を求める欲張りなニーズに応えてくれます。

より高い性能を求めるユーザー(プロシューマーやクリエイター)

おすすめモデル: HP OmniBook 7 / OmniBook X

写真編集やプログラミング、多くのアプリを同時に使うヘビーなマルチタスクには、OmniBook 7が出発点として理想的です。高性能なプロセッサーや高解像度ディスプレイの選択肢が、要求の高い作業をサポートします。さらに本格的な動画編集など、プロレベルの作業を視野に入れるなら、旧Envy後継のOmniBook Xも選択肢に入ります。

旧Pavilionモデルの購入は慎重に

在庫処分などで安くなっている旧Pavilionモデルは魅力的に見えます。
しかし、短期的なコスト削減にはなっても、NPU非搭載または性能が低いモデルでは、今後登場する革新的なAI機能の恩恵は受けられません。

長期的な視点に立つなら、少し予算を足してOmniBookシリーズを選ぶ という選択肢も検討する価値が十分にあります。

HP PavilionからOmniBookリブランドの要点

最後に、この記事で解説したHP PavilionからOmniBookへのリブランドに関する要点をまとめます。

  • HPは2024年にPCブランドを再編しPavilionをOmniBookへ統合
  • リブランドの背景にはAI PC時代の到来と製品ラインの簡素化がある
  • 新ブランド「Omni」はAI機能を核とした統一体験の象徴
  • OmniBookは全モデルにAI処理専門のNPUを標準搭載
  • 新たな製品階層は5・7・X・Ultraの4シリーズ構成
  • OmniBook 5は旧Pavilion後継の新しいスタンダードモデル
  • OmniBook 7は旧Pavilion Aero/Plus後継の高性能モデル
  • OmniBook Xは旧Envy後継のクリエイター向けモデル
  • OmniBook Ultraは旧Spectre後継のフラッグシップモデル
  • OmniBookはWebカメラや接続性など基本性能も大幅に向上
  • NPUはPCの性能やバッテリー効率、プライバシーを向上させる
  • 40 TOPS以上のNPUを搭載したPCは「Copilot+ PC」と呼ばれる
  • 日常利用ならOmniBook 5がコストパフォーマンスに優れる
  • 携帯性を重視するならOmniBook 7 Aeroが最良の選択肢
  • 旧Pavilionモデルの購入は将来性を考えると慎重な判断が必要

 Appendix: データ参照サイト一覧 [ 開/閉 ]