HPのコストパフォーマンスに優れたノートPC「HP 15 Ryzen 5 7530U」が気になっている方に向けて、本記事ではその実力をレビューします。
価格帯のわりに高性能との声も多く、果たして本当に使いやすいのか、どんなユーザーに適しているのかを詳しく検証していきます。
搭載されているAMD Ryzen 5 7530UのCPU世代などの基本情報に加え、実際のベンチマークデータやCPUスコア、インテル製プロセッサとの性能比較など、スペックだけでは分からない実用性にも踏み込みます。
メモリ構成については、16GBを標準搭載しており、複数アプリの同時使用にも強い一方で、メモリ増設の可否といった将来的な拡張性に関する注意点も解説。
また、フルHDの15.6インチディスプレイやIPSパネルといったパネル性能にも注目し、視認性や目の疲れにくさといったユーザー体験の観点からも評価しています。
さらに、「ゲームに使えるか?」「動画編集に使えるか?」という実用的な疑問についても、具体的な処理速度の目安を紹介しながら、対応できる作業内容や注意点を明らかにします。グラフィック性能の面でも、AMD Radeon Graphicsの実力を日常用途と比較しつつ評価します。
スペックや仕様を細かくチェックしたい方はもちろん、用途別にどれだけの性能が出せるのかを知りたい方にとって、購入前の判断材料として役立つ内容となっています。
初めてノートPCを選ぶ方や、コストと実用性のバランスを重視する方にぜひ読んでいただきたいレビュー記事です。
HP 15 Ryzen 5 7530Uの主要仕様をレビュー
- 発売日とCPU世代の基本情報
- 基本仕様の概要
- メモリ搭載量と増設の可否
- ディスプレイやパネルの性能解説
- バッテリー駆動や重量など実用面
項目 | 仕様 |
---|---|
基本情報 | |
モデル名 | HP 15-fc0261AU (A4HX4PA) |
OS | Windows 11 Home Single Language |
カラー | ナチュラルシルバー |
プロセッサー・チップセット | |
CPU | AMD Ryzen™ 5 7530U |
CPUコア数 | 6コア/12スレッド |
ベースクロック | 2.0 GHz |
最大ブーストクロック | 4.5 GHz |
キャッシュ | 16 MB L3キャッシュ |
チップセット | AMD integrated SoC |
メモリ・ストレージ | |
メモリ | 16 GB DDR4-3200 MT/s (2 x 8 GB) |
ストレージ | 512 GB PCIe® NVMe™ M.2 SSD |
ディスプレイ | |
画面サイズ | 15.6インチ (39.6 cm) |
解像度 | フルHD (1920 x 1080) |
パネル種類 | 非光沢・IPSディスプレイ |
輝度 | 250 nits |
色域 | 45% NTSC |
スクリーン対ボディ比 | 85% (スピーカー除く) |
フリッカーフリー | 対応 |
グラフィックス | |
GPU | AMD Radeon™ Graphics (内蔵) |
接続性・インターフェース | |
無線LAN | IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6) |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 |
USB | USB Type-A x 2, USB Type-C x 1 |
オーディオ | 3.5mm マイク/ヘッドフォン端子 |
カードスロット | SDカードスロット |
物理仕様 | |
寸法 (幅) | 358 mm |
寸法 (奥行) | 242 mm |
寸法 (高さ) | 18 mm |
重量 | 約1.59〜1.6 kg |
バッテリー・電源 | |
バッテリー駆動時間 | 最大10時間 |
定格電力 | 100-240 VAC |
TDP | 15W (デフォルト) |
その他機能 | |
Webカメラ | 搭載 |
指紋認証 | 一部モデルで対応 |
キーボード | 日本語配列、テンキー付き |
光学ドライブ | なし |
オフィスソフト | MS Office Home & Student 2021 (一部モデル) |
発売日とCPU世代の基本情報
HP 15 Ryzen 5 7530Uは、2023年6月に登場したモデルで、価格と性能のバランスに優れたノートパソコンとして注目を集めています。
搭載されているRyzen 5 7530Uは、Zen 3アーキテクチャに基づいた第7世代モバイル向けのプロセッサーで、最新の製造技術を取り入れたことで高効率な動作を実現しています。このCPUは6コア12スレッド構成となっており、マルチタスク環境にも対応可能です。
パフォーマンスの高さだけでなく、省電力性も兼ね備えているため、長時間の使用でも安心です。ノートPC全体のカテゴリとしては中位クラスに属しますが、一般的な用途であるWebブラウジング、文書作成、動画鑑賞、オンライン会議といった日常的な作業においては、十分以上の快適さを提供してくれます。
また、ビジネスシーンでの利用も視野に入れた設計で、信頼性と実用性を兼ね備えている点も大きな特長のひとつです。
基本仕様の概要
HP 15 Ryzen 5 7530Uは、16GBのメモリと512GBのSSDを標準搭載しており、一般的な作業においては十分な快適さを実現します。
メモリ容量が大きいため複数のアプリケーションを同時に立ち上げても動作が重くなりにくく、SSDの高速読み書きによってシステムの起動やアプリの立ち上げもスムーズです。
OSにはWindows 11 Homeを採用しており、最新のセキュリティ機能やユーザーインターフェースを利用することができます。
ディスプレイは15.6インチのフルHD(1920×1080ドット)で、非光沢タイプのIPSパネルを採用しています。
これにより、外光の映り込みが抑えられ、長時間の作業でも目が疲れにくい設計となっています。また、視野角が広いため、複数人で画面を確認するような場面でも見やすさを保てます。
さらに、USB-Cポート1つ、USB-Aポート2つ、HDMIポート1つといったインターフェースを備えており、外部ディスプレイやUSB機器との接続も簡単です。
ヘッドフォンジャックも搭載されているため、オンライン会議や音楽鑑賞にも対応可能です。このように、普段使いや仕事、学習用途において、必要な機能をしっかりと備えた実用的なスペック構成となっています。
メモリ搭載量と増設の可否

本モデルは16GBメモリをオンボードで搭載しており、一般的な用途においては余裕を持って対応できる十分な容量となっています。
Webブラウジング、オフィスソフトでの作業、動画視聴といった軽めの作業であれば、複数のタブやアプリケーションを同時に開いてもストレスを感じることは少ないでしょう。
ただし、メモリがオンボード仕様のため、後からの増設や交換はできません。
将来的にPhotoshopなどの画像編集や軽度な動画編集を行いたいと考えている方は、この16GBという容量が自分の用途に見合っているかをよく検討する必要があります。
パソコンの購入時点で、使用目的に適したメモリ容量であるかを確認しておくことが、長く快適に使用するうえで非常に大切です。
ディスプレイやパネルの性能解説

15.6インチのフルHDディスプレイは、IPSパネルを採用しており、視野角が広く、上下左右どの角度から見ても色の変化が少ないことが特長です。
さらに、非光沢仕上げで外光の映り込みを抑える設計となっており、長時間の作業でも目が疲れにくい構造になっています。
明るい部屋や日中の利用でも快適に使用できる点は、日常使いのノートパソコンとして非常に重要なポイントです。
ただし、色域はsRGBカバー率63%程度とやや控えめな数値であるため、写真編集やグラフィック制作、映像制作などの色再現に高い正確性を求められるクリエイティブ作業には不向きです。
プロ用途として使うには少し物足りなさが残りそうです。
とはいえ、Web閲覧やYouTubeなどの動画視聴、WordやExcelによる文書作成など、一般的な用途には十分な表示性能を持っています。
映像の鮮やかさや文字の視認性も良好で、画面を見る時間が長くなりがちな現代のライフスタイルにおいて、快適な操作環境を提供してくれます。
バッテリー駆動や重量など実用面
バッテリーは約41Whの容量を持ち、明るさを最大に設定し、Wi-Fiに常時接続しながらYouTube動画を連続再生するという比較的負荷の高い条件でも、約6.2時間の連続使用が可能です。
通常の使用条件では、もう少し長く使える場面も多く、外出先での利用や電源が確保できない環境でも一定の安心感があります。モバイル用途として考えると、この駆動時間は中堅クラスながらも十分に実用的です。
重さは約1.63kgで、15.6インチのノートパソコンとしては軽量な部類に入ります。
カバンに入れての持ち運びや、部屋の中での移動といった日常的な取り回しにおいて不便を感じることはほとんどありません。また、厚さも比較的スリムに設計されているため、見た目のスタイリッシュさも保たれています。
さらに、静音性や発熱対策にも配慮されており、ファンの音が気になるようなことは少なく、長時間使用しても本体が熱くなりにくい構造です。
これにより、カフェや図書館といった静かな場所でも使いやすく、夏場の使用にも耐える設計となっています。
全体として、日常使いに適した実用性の高いノートPCであり、コストを抑えながらも快適さを求める方におすすめできる仕様となっています。
HP 15 Ryzen 5 7530Uの実力検証レビュー
- AMD Ryzen 5 7530UのCPU性能
- インテル製CPUとの性能比較
- グラフィック性能とGPUの特徴
- ゲームに使えるか? 実力検証例
- 動画編集に使えるか? 処理速度検証例
- コストパフォーマンスの総合評価
AMD Ryzen 5 7530UのCPU性能

Ryzen 5 7530Uは、6コア12スレッド構成のCPUで、パフォーマンスと効率性を両立させた設計が魅力です。
PassMarkではマルチスコア16774、シングルスコア3237という結果を記録しており、一般的なビジネス作業やWebブラウジング、ストリーミング動画の視聴、軽度な画像編集作業などにおいては、非常にスムーズな動作を実現します。
また、ZoomやTeamsを利用したオンライン会議や、マルチタスクでの作業にも難なく対応可能です。
これに加え、省電力性能も高く、モバイル用途としての使用にも適しているため、持ち運びが多い学生やビジネスパーソンにとっても魅力的な選択肢となります。
さらに、熱処理やファンの音も比較的静かで、静かな作業環境を保ちたい方にもおすすめできます。
高負荷な3Dレンダリングや4K動画編集などの専門用途にはやや力不足な面もありますが、それ以外の幅広い用途において非常にバランスの取れたCPUといえるでしょう。
インテル製CPUとの性能比較

同クラスのIntel Core i5-1235Uと比較すると、Ryzen 5 7530Uはマルチコア性能でやや優位に立っており、複数のアプリを同時に使うような作業環境や動画のエンコードなどにおいて、より高い効率を発揮します。
これは、Ryzen 5 7530Uの6コア12スレッドという構成が、多くのタスクを同時並行で処理できる能力を備えているためです。
一方で、シングルスレッド性能に関しては、Intel Core i5-1235Uのほうがわずかに上回っており、Excelの一部関数や古いアプリケーションなど、シングルスレッド性能に依存する処理ではIntelの方がスムーズに動作する場面も見受けられます。
そのため、日常的に使用するアプリケーションの性質をよく把握しておくことが、より快適なパフォーマンスを得るためのポイントになります。
さらに、i5-1235Uは内蔵グラフィックであるIris Xeが優秀とされており、軽めのグラフィック処理や高解像度動画の再生においても安定した結果が期待できます。
Ryzen 5 7530Uが全体的なパフォーマンスとコストのバランスに優れている一方で、グラフィック性能や一部の処理速度ではIntelがリードするケースもあるため、どちらが自身の用途に合っているかを事前に検討するのが賢明でしょう。
グラフィック性能とGPUの特徴
内蔵されているのはAMD Radeon Graphicsで、主に軽い画像編集やYouTubeの4K動画再生など、一般的な用途においては問題なく対応できる性能を持っています。
たとえば、ウェブブラウザ上でのアニメーションやオンライン会議、PowerPointでの資料作成中に動画を挿入する程度の作業であれば、滑らかに処理できるので十分な実用性があります。
また、SNS用の簡単な画像加工やイラスト制作など、負荷の軽いグラフィック作業にも対応できるため、初心者やライトユーザーには適した選択肢です。
ただし、専用GPU(ディスクリートGPU)を搭載したノートパソコンと比べると、処理能力には明らかな差があります。
高度な3Dモデリングやレンダリング、大規模な写真・映像編集、高画質かつ高フレームレートを求める最新のゲームプレイなどにはパワー不足を感じる場面が出てくるでしょう。
このため、プロフェッショナル向けのグラフィック用途やゲーミングパソコンとしての利用には適しているとは言えません。
一方で、グラフィック作業を日常的に多用しないユーザーにとっては、コストを抑えつつも必要十分な性能を発揮してくれる点が大きな魅力です。
高性能なGPUを求めないユーザーであれば、価格と性能のバランスを取った選択肢として安心して使える構成といえるでしょう。
ゲームに使えるか? 実力検証例

ファイナルファンタジーXIVのベンチマーク(1920×1080・標準品質)では約32fpsと、「普通」と評価されるスコアのようでした。
これはゲームプレイにおいてある程度の滑らかさは感じられるものの、快適に楽しむにはややフレームレートが不足している印象です。
動きが激しい場面ではカクつきを感じる可能性もあります。軽いゲームや古めのタイトルであれば比較的スムーズにプレイできますが、設定の調整が必要になることもあるでしょう。
一方で、3D性能を要求する最新の大作ゲームになると、処理能力の限界が見えるようです。
高画質設定では動作が重くなり、快適なプレイは難しいといえます。グラフィック負荷の低いインディーゲームやブラウザベースのゲームであれば問題ないケースが多いですが、本格的なゲーム用途には不向きと判断できます。
このように、ゲーム専用機としての利用にはあまり適していないものの、軽めのゲームを楽しむ程度であれば実用可能な範囲といえるでしょう。
動画編集に使えるか? 処理速度検証例

動画編集ではDavinci Resolveを使用し、180秒のフルHD動画をYouTube用にエンコードしたところ、約90秒という時間がかかるという情報がありました。
この書き出し速度は、簡易的な編集作業であれば十分に実用的ですが、長時間の動画や高画質な素材を扱う場合には待ち時間が気になる場面もあるかもしれません。
さらに、エフェクトやトランジションを多用した編集では、プレビュー再生がコマ落ちすることもありそうです。
また、画像編集ソフトのPhotoshopでRAW現像を行った際も、処理時間がやや長めに感じられたとのことです。
特に複数枚の一括処理や、複雑なレイヤー構造を用いた作業になると、待ち時間が発生しやすく、スムーズな作業とはいえない状況になる可能性がありそうです。
つまり、軽めの編集作業であれば十分こなせる実力を持っているものの、頻繁に動画制作を行うクリエイターや、本格的な編集を求めるユーザーには性能面で物足りなさを感じるかもしれません。
日常的な利用では問題ないものの、プロフェッショナルな用途には慎重な検討が必要です。
コストパフォーマンスの総合評価
価格は通常時で7.6万円程度ですが、タイミング次第ではセールで6万円台にまで下がることもあるようです。
こうした手頃な価格帯でありながら、日常的な作業を快適にこなせるスペックや、実用的な機能を備えている点は非常に魅力的といえるでしょう。
特に、16GBメモリやSSD搭載、フルHDの非光沢ディスプレイなど、コストを抑えつつも要所を押さえた仕様になっていることは評価に値します。
このような特徴から、普段使いはもちろん、学生のレポート作成やオンライン授業、在宅ワーク用の業務端末としても非常に高いコストパフォーマンスを発揮します。
また、初めてノートPCを購入する方にとっても、バランスが取れたエントリーモデルとして安心して選べる存在です。
必要な機能をしっかりとカバーしつつ、将来的な用途拡張には制限があるものの、ライトユーザーにとっては十分以上に満足できる内容と言えるでしょう。
HP 15 Ryzen 5 7530U のレビュー総括
- 2023年6月発売でZen 3アーキテクチャ採用の第7世代Ryzen搭載
- 6コア12スレッドでマルチタスク性能に優れる
- 省電力性も高く、長時間使用でも安定した動作
- 16GBメモリと512GB SSDで基本性能が高水準
- Windows 11 Homeを標準搭載
- フルHD・IPS・非光沢の15.6インチディスプレイで視認性良好
- USB-CやHDMIなど拡張性の高いインターフェース構成
- メモリはオンボード仕様で増設不可
- 色域は控えめでクリエイティブ用途には不向き
- 約6.2時間のバッテリー駆動で外出先でも安心
- 重量約1.63kgと15.6インチとしては軽量クラス
- Ryzen 5 7530UはPassMarkで高スコアを記録
- Intel Core i5-1235Uよりマルチ性能に優れるがシングルはやや劣る
- 軽いゲームや動画編集は可能だが高負荷用途には不向き
- 実売価格6〜7万円台で非常に高いコストパフォーマンス