Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceは必要か?|ソフトの役割と対処法

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Lenovo製のパソコンを利用していると、標準でインストールされている「Lenovo Vantage」や、バックグラウンドで動作している「Lenovo Vantage Service」。
これらは一体何のためにあり、本当に必要か?と疑問に思ったことはありませんか。

この記事では、Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceの基本的な目的や機能から、両者の違いと密接な関係性までを分かりやすく解説します。

さらに、ユーザーの間で交わされる評判や口コミを基に、客観的な視点からその必要性を深く探っていきます。
もしも不要だと感じた場合に、Lenovo Vantageを消しても大丈夫なのかという不安にもお答えし、PCの動作に影響を与えずに起動させない停止方法から、システムから完全に削除するアンインストールの具体的な手順まで、丁寧にガイドします。
また、一般ユーザーにはあまり知られていない、法人向けのLenovo Commercial Vantageとの違いにも触れることで、Lenovoが提供するユーティリティの全体像を明らかにします。

  • 記事のポイント
    • Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceの役割や明確な違い
    • ユーザーの評判から見る本当の必要性
    • 安全に停止またはアンインストールする具体的な手順
    • 法人向けLenovo Commercial Vantageとの機能的な差

Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceの役割と必要性

Lenovo Vantage-Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceの役割と必要性
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このセクションでは、Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceがどのようなソフトウェアで、どのような役割を担っているのか、そしてユーザーにとって本当に必要なのかを多角的に分析します。

Lenovo Vantage, Lenovo Vantage Serviceとは?

Lenovo製PCにプリインストールされている「Lenovo Vantage」と「Lenovo Vantage Service」は、一見すると同じもののように思えるかもしれませんが、それぞれが異なる役割を持つ、連携して機能するソフトウェアです。

Lenovo Vantageは、ユーザーが直接操作するアプリケーション本体です。Microsoft Storeを通じて配布されるUWP(Universal Windows Platform)アプリであり、PCの各種設定、システム更新、パフォーマンス監視などを、グラフィカルで直感的なダッシュボードから一元管理できるように設計されています。いわば、ユーザーとPCのハードウェア機能をつなぐ「操作パネル」や「コックピット」のような存在です。

一方のLenovo Vantage Serviceは、ユーザーの目には直接触れないバックグラウンドで動作するサービスです。これは「Lenovo System Interface Foundation (LSIF)」という、より基盤的なコンポーネントの一部として機能しています。
その主な役割は、UWPアプリであるVantageと、OSやBIOSといったPCの低レベルなシステムとの間の通信を仲介することです。Vantageアプリからの指示を受け取り、実際にハードウェア設定の変更やBIOSの更新といった特権的な操作を実行する「実行部隊」と言えるでしょう。

2つのソフトウェアの違いと両者の関係

Lenovo Vantage-2つのソフトウェアの違いと両者の関係
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前述の通り、Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceの最も大きな違いは、その役割にあります。Vantageが「指示を出すクライアント(操作画面)」であるのに対し、Vantage Serviceは「指示を実行するサーバー(実行部隊)」です。この2つは、クライアント・サーバーモデルという関係で成り立っており、どちらか一方だけではその機能を十分に発揮できません。

例えば、ユーザーがVantageアプリの画面でバッテリーの充電設定を変更しようとすると、その指示はVantage Serviceに送られます。指示を受け取ったVantage Serviceが、システムレベルの高い権限で実際にバッテリーコントローラーの設定を変更する、という流れになります。

このように、Vantageアプリはあくまでユーザーインターフェースを提供する「表の顔」であり、その背後でVantage Service(およびLSIF)が実務を担うことで、アプリケーションの強力な機能が実現されています。このアーキテクチャは、セキュリティを確保するためにアプリの権限を制限する現代のWindowsの設計思想に沿ったものであり、Vantageのようなシステムユーティリティが安全に動作するための仕組みなのです。

ソフトウェアの主な目的と便利な機能

Lenovo Vantageの主な目的は、Lenovo製PCのオーナーが、自身のデバイスを最大限に活用し、常に最適な状態で使用できるようにサポートすることです。標準のWindows設定だけではアクセスできない、ハードウェア固有の便利な機能へ簡単にアクセスできる点が最大の価値と言えます。

具体的には、以下のような多岐にわたる機能が提供されています。

システムの健全性維持

  • システムアップデート: ドライバーやBIOS、ファームウェアの更新を自動でチェックし、一括で適用できます。これにより、PCのセキュリティとパフォーマンスを常に最新の状態に保つ手間が大幅に軽減されます。
  • ハードウェア診断: メモリやストレージなどの主要なハードウェアコンポーネントに問題がないかをスキャンし、不具合の早期発見に役立ちます。

ハードウェアのカスタマイズ

  • 電源管理: ノートPCのバッテリー寿命を延ばすための「バッテリー充電のしきい値」設定(例:80%で充電を停止)や、使用状況に応じて冷却性能を自動調整する「インテリジェント・クーリング」などが利用できます。
  • 入力デバイス設定: FnキーとCtrlキーの配置をソフトウェア上で入れ替える機能や、キーボードのバックライト設定、タッチパッドの詳細なカスタマイズが可能です。
  • オーディオ・ビジュアル設定: 内蔵カメラのプライバシーシャッターや画質調整、マイクの指向性切り替え、Dolbyオーディオのプロファイル選択など、オンライン会議やコンテンツ視聴の体験を向上させる機能が揃っています。

これらの機能は、特にPCの細かい設定に詳しくないユーザーにとって、デバイスの管理を非常に容易にしてくれる有益なものと考えられます。

実際の評判や口コミ

Lenovo Vantageに対するユーザーの評価は、その人の技術的な知識レベルやPCの利用目的によって大きく二分される傾向があります。

一般的に、PCのメンテナンスにあまり詳しくないユーザーや、手軽に最適な設定を維持したいと考える層からは、「必須のツール」として高く評価されています。ワンクリックでドライバーを最新にできたり、バッテリーの寿命を延ばす設定が簡単にできたりする点は、明確なメリットとして認識されています。

一方で、技術に精通したパワーユーザーや、PCのパフォーマンスを極限まで追求するゲーマー層からは、「ブロートウェア(余計なお世話ソフト)」と見なされることも少なくありません。
その理由としては、バックグラウンドで常にリソースを消費すること、時折表示される広告や製品プロモーションの通知が煩わしいことなどが挙げられます。
特にゲーミングPC「Legion」シリーズのユーザーからは、パフォーマンスへの影響を懸念する声が多く、その不満がサードパーティ製の代替ツールを生み出す原動力にもなりました。

要するに、Vantageが提供する利便性を価値と捉えるか、リソース消費や広告をデメリットと捉えるかで、その評価は180度変わるということです。

Lenovo Commercial Vantageとの違い

Lenovo Vantage-Lenovo Commercial Vantageとの違い
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Lenovoは、一般的な個人ユーザー向けの「Lenovo Vantage」とは別に、法人向けに特化した「Lenovo Commercial Vantage」というバージョンを提供しています。
この2つの最大の違いは、Commercial VantageはIT管理者による「管理と統制」を前提に設計されている という点です。

Commercial Vantageは、企業内で多数のPCを管理するIT部門の負担を軽減することを目的としています。
そのため、個人向けVantageに含まれる広告、アップセル(有償サービスの案内)、マーケティング関連の記事といった要素はすべて排除されており、純粋なシステム管理ツールとして機能します。

以下の表は、両者の主な違いをまとめたものです。

機能・側面標準 Lenovo Vantage (個人向け)Lenovo Commercial Vantage (法人向け)
主なターゲット個人コンシューマー管理された法人環境のIT部門
広告・アップセルありなし
ITポリシーによる制御限定的グループポリシー等で包括的に制御可能
展開方法Microsoft Storeスクリプトによる大規模展開が可能
ユーザーインターフェースコンシューマー向けのデザイン機能本位でシンプルなデザイン

このように、Commercial Vantageは、IT管理者がフリート全体のPC設定を標準化し、セキュリティポリシーを適用するための強力なツールです。
もしあなたが企業のIT管理者であれば、標準のVantageではなく、必ずCommercial Vantageを選択する必要があります。

結局、ユーザーにとっての必要性は?

ここまでの情報を踏まえると、Lenovo Vantageが必要かどうかは、あなたのPC利用スタイルによって決まると言えます。

もしあなたが、PCのメンテナンスやアップデートを手動で行うのが面倒だと感じる一般的なユーザーであれば、Vantageは非常に有用なツールです。
特に、バッテリーの充電上限を設定して寿命を延ばす機能や、Fn/Ctrlキーの入れ替えといったハードウェア固有の設定は、Vantageがなければアクセスが困難なため、これらの機能に価値を感じるならインストールしておくべきでしょう。

一方で、あなたが必要なドライバーは自分で公式サイトからダウンロードして管理し、バックグラウンドで動作する常駐ソフトは極力減らしたいと考えるパワーユーザーやゲーマーであれば、Vantageは不要な「ブロートウェア」と感じる可能性が高いでしょう。
パフォーマンスへのわずかな影響や、意図しない通知を避けたいのであれば、アンインストールを検討する価値は十分にあります。

したがって、「すべての人に必要」でも「すべての人に不要」でもなく、Vantageが提供する利便性と、その代償であるリソース消費や通知を天秤にかけ、自身の使い方に合うかどうかで判断することが大切です。


Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceが不要な場合の対処

Lenovo Vantage-Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceが不要な場合の対処
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Vantageが自身の使い方には合わないと判断した場合の、具体的な対処法を解説します。
完全に削除するだけでなく、機能を停止させて様子を見る という方法もあります。

Lenovo Vantageを消しても大丈夫か?

Lenovo Vantageをアンインストールしても、PCの基本的な動作に支障が出ることはありません。

WindowsのOS自体は、Vantageがなくても問題なく機能します。マウスやキーボード、インターネット接続といった基本的な操作ができなくなる、といった心配は不要です。

ただし、Vantageを削除することで、いくつかのデメリットや注意点があります。
最も大きな影響は、Vantageを通じて提供されていたLenovo独自のハードウェア制御機能が利用できなくなることです。

具体的には、以下のような機能が使えなくなります。

  • バッテリー充電のしきい値設定
  • インテリジェント・クーリングによる冷却モードの切り替え
  • FnキーとCtrlキーの機能入れ替え
  • Dolbyオーディオの詳細設定
  • キーボードバックライトのカスタマイズ

これらの機能を使っていた場合は、アンインストールすると不便に感じるかもしれません。

また、Lenovoからの重要なドライバーやBIOSアップデートの通知が自動では来なくなるため、今後は自分で定期的にLenovoのサポートサイトを確認して、手動でアップデートを適用する必要が出てきます。

以上の点を理解した上で、それでも不要だと判断できるのであれば、Vantageを削除しても問題ないと言えます。

ソフトウェアを起動させないための停止方法

「完全に削除するのは少し不安だけれども、普段は動作を止めておきたい」という場合には、アンインストールせずにVantageの主要な機能を停止させることができます。

これにより、バックグラウンドでのリソース消費を抑えつつ、必要なときだけ手動でVantageを起動して使う、という運用が可能になります。

主な停止方法は2つあります。

Lenovo Vantage Serviceを無効化する

Vantageの心臓部であるサービスを停止させる方法です。

  1. Windowsキー + R を押して「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開きます。
  2. services.msc と入力してEnterキーを押し、「サービス」管理ツールを起動します。
  3. 一覧の中から「Lenovo Vantage Service」を探し、ダブルクリックします。
  4. 「スタートアップの種類」を「無効」に変更し、「適用」をクリックします。
  5. もしサービスが実行中であれば、「停止」ボタンをクリックします。
  6. PCを再起動すると、サービスは自動で起動しなくなります。

タスクバーのツールバーを無効化する

画面右下のタスクバーに表示される緑色のバッテリーアイコンが不要な場合は、Vantageアプリ内から簡単に非表示にできます。

  1. Lenovo Vantageアプリを起動します。
  2. 右上のメニューから「デバイス設定」に進みます。
  3. 「電源」の項目内にある「Lenovo Vantage ツールバー」のスイッチをオフにします。

これらの設定を行うことで、Vantageの存在を意識することなくPCを利用できるようになります。

正しい削除とアンインストールの手順

Lenovo Vantageをシステムから完全に削除するには、通常のアプリのようにアンインストールするだけでは不十分な場合があります。
関連するドライバーコンポーネントも併せて削除することが、クリーンな状態にするための鍵となります。

以下の手順を順番に実行してください。

  1. Lenovo Vantage アプリのアンインストール
    • Windowsの「設定」を開き、「アプリ」→「インストールされているアプリ」に進みます。
    • 一覧から「Lenovo Vantage」を見つけ、右側のメニューボタン(…)から「アンインストール」を選択して実行します。
    • 同様に、「Lenovo Vantage Service」があれば、それもアンインストールします。
  2. System Interface Foundation ドライバーのアンインストール(最重要)
    • スタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
    • 一覧から「システム デバイス」の項目を展開します。
    • 中に「System Interface Foundation V2 Device」という名前のデバイスがあります。これを見つけて右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択します。
    • 確認のダイアログボックスが表示されたら、「このデバイスのドライバー ソフトウェアを削除します」のチェックボックスを必ずオンにしてから「アンインストール」ボタンをクリックします。
      このチェックを入れないと、ドライバーの残骸がシステムに残り、問題の原因となる場合があります。
  3. システムの再起動
    • すべての手順が完了したら、PCを再起動します。
      これでアンインストール処理は完了です。

この手順を踏むことで、Vantageスイートをシステムから完全かつクリーンに削除することができます。


まとめ:Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceの要否

Lenovo Vantage-まとめ:Lenovo VantageとLenovo Vantage Serviceの要否
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最期に、この記事で解説してきたLenovo VantageとLenovo Vantage Serviceに関する重要なポイントを以下にまとめます。

  • Vantageはユーザーが操作する「操作パネル」アプリ
  • Vantage Serviceはその指示を実行する「実行部隊」
  • 両者は連携して動作し、片方だけでは機能しない
  • 主な目的はPCの健全性維持とハードウェアのカスタマイズ
  • ドライバー更新を一元管理できるのは大きなメリット
  • バッテリーの充電上限設定はバッテリー寿命の延伸に貢献
  • FnキーとCtrlキーの入れ替えは一部ユーザーに重宝される
  • 一方でバックグラウンドでリソースを消費するデメリットもある
  • 広告や通知が煩わしいという評判も存在する
  • 必要性は個人のPC利用スタイルや知識レベルに依存する
  • PC初心者や手軽に管理したい人には有用なツール
  • 自力で全て管理したいパワーユーザーは不要と感じる場合が多い
  • アンインストールしてもPCの基本動作に問題はない
  • 削除するとLenovo独自のハードウェア制御機能は使えなくなる
  • 完全に削除するにはアプリとドライバーの両方を削除する必要がある